一心太助篇(1960年)

CMエピソード

一心太助篇/貫一お宮篇/月形のり平太篇/浦島太郎篇

 

この頃のCMのネタは小説・芝居・民謡などからいただいているものが多いんだが、今の人は浦島太郎ぐらいしか分からないかな。

『貫一お宮篇』では、尾崎紅葉の小説『金色夜叉』に出てくる貫一とお宮が登場して、「千年も万年もこのおかずで食べたいわ」と会話を交わす。当時、これを聞けば、徳冨蘆花の小説『不如帰』の一節を連想する。肺病に苦しむ浪子が武男に言った「人間はなぜ死ぬんでしょう。生きたいわ、千年も万年も生きたいわ」って有名なセリフを思い出して、皆がなるほどとニヤッとしてくれた時代だったんだ。

一心太助は架空の人物。気っ風のいい江戸っ子の魚屋で、徳川家光の時代の大久保彦左衛門と親交があったということで、アニメの中にもちゃんと登場してるよ。「月形半平太」は土佐藩士の武市半平太をモデルにした物語で、新国劇で「月様、雨が……」「春雨じゃ濡れて行こう」という名セリフで有名だね。