そもそも疲れとは?
疲れには、末梢性疲労(身体の疲れ)と中枢性疲労(脳の疲れ)の2種類があり、多くの場合は両者が複合的に関与しています。
ここでは、末梢性疲労と中枢性疲労それぞれの特徴と、主な要因を解説します。
末梢性疲労(身体の疲れ)
末梢性疲労とは、脳以外の身体の部位、主に筋肉に起こる疲れです。
日常の動作や姿勢の乱れなどが原因となります。運動の場合は炎症もあわせて生じるため、筋肉痛となって表れます。
目の疲れや身体のだるさ、倦怠感といった症状も末梢性疲労に含まれ、十分な休養がとれていないときに生じやすいのが特徴です。
中枢性疲労(脳の疲れ)
中枢性疲労とは、脳の疲れによって引き起こされる精神的、心理的な疲労です。脳が長時間緊張状態にさらされると、調整機能が十分に機能しなくなることがあります。
中枢性疲労の主な要因は、過労や食生活の乱れ、睡眠不足などがあげられ、幸せホルモンと呼ばれる脳内情報伝達物質「セロトニン」の不足も一因と考えられています。
疲れが取れないときの身体の状態
末梢性疲労や中枢性疲労が溜まったとき、身体の中では以下のような変化が起きているといわれます。
・副交感神経の機能低下
・酸化ストレスの増加
ここでは、それぞれの変化について詳しく解説します。
副交感神経の機能低下
副交感神経は、血管を拡張させて血圧や心拍数を下げるほか、胃腸の働きを活発にするなど、身体をリラックス状態に導く役割を担っています。
この副交感神経と対になるのが交感神経で、アクティブに活動しているときに優位になります。
しかし、加齢やストレス、不規則な生活などによって副交感神経の働きが低下すると、血流が悪化し、だるさや気力の低下といった疲れにつながるのです。
酸化ストレスの増加
オーバーワークが続くと、体内で酸化ストレスが増加し、細胞の一部がさびついた状態になります。
その結果、修復エネルギーであるATP(アデノシン3リン酸)の生成が低下し、疲れが生じるのです。
酸化ストレスは、運動のしすぎや運動不足、偏った食生活、喫煙などによって体内に蓄積されます。また、酸化ストレスは疲れや老化など、健康へのさまざまな悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、抗酸化によって酸化ストレスを除去することが重要です。
今すぐできる!疲れを取る6つの方法
ここでは、今日からすぐに取り入れられる、疲れを感じたときに役立つ6つの方法を紹介します。
・夜にストレッチや軽い運動を行う
・20分程度の仮眠をとる
・何も考えない時間をつくる
・抗酸化物質を摂る
・アロマの香りを楽しむ
・自然に触れてリフレッシュする
無理なく、できることから少しずつ取り入れてみましょう。
ストレッチや軽い運動を行う
運動不足が続くと、新陳代謝が低下して血流が滞り、疲労物質がスムーズに排出されなくなります。その結果、疲れが蓄積しやすくなるのです。
夜に軽い運動を取り入れることで、全身の血行が促進され、疲労物質の排出を促す効果が期待できます。
例えば、ウォーキングなどの有酸素運動は、呼吸循環器系の働きを高め、筋肉を刺激して血流を改善します。
また、身体が温まっているお風呂上がりのタイミングでストレッチやヨガを行い、筋肉をほぐすのもおすすめです。血流が良くなることで、筋肉に酸素や栄養素が届きやすくなり、疲労の軽減につながります。
20分程度の仮眠をとる
20分程度の仮眠をとるだけでも、疲れの回復に役立ちます。
短時間でもノンレム睡眠(深い眠り)に入ることで、脳内に蓄積されたキャッシュメモリがクリアになり、脳の疲れが軽減されるといわれます。これは、PCやスマートフォンで動作が重くなったときに、キャッシュを削除して軽くするのと同じようなイメージです。
ただし、30分以上眠ってしまうと、さらに深い睡眠に入り、起きたときに強い眠気を感じてしまいます。仮眠をとる際は、20分後にアラームを設定しておきましょう。
何も考えない時間をつくる
何も考えない時間をつくることも疲れたときにおすすめです。ぼーっと何も考えない時間をつくることで、脳や心の疲れがリセットされます。
何も考えないのは難しいことですが、ひとりの時間を作り、目を閉じてできるだけ何も考えないように数分間過ごすことから始めると良いでしょう。
あらゆることから意識を解放できると、疲れの回復につながります。
入ってきた情報を処理しきれなくなると、考えがまとまらなくなり、焦燥感を覚えてさらにストレスが溜まっていく悪循環に陥ります。何も考えない時間をつくることは、情報の整理にも役立ちます。
抗酸化物質を摂る
抗酸化物質を摂取することで、酸化ストレスの原因となる活性酸素の発生を抑えたり、体内から取り除いたりできます。
代表的な抗酸化物質は、フルーツや野菜に多く含まれるビタミンCや、ブルーベリーに含まれるアントシアニンです。また、近年ではにんにくの成分が含まれる熟成にんにくエキスなども注目されています。
抗酸化作用がある熟成にんにくエキスには、日常生活の疲労感を軽減する機能があります。手軽に摂取するなら「桃屋のいつもいきいき」をお試しください。にんにくの香りを軽減しており、黒みつ味に仕上げているので、普段の食事に取り入れやすくなっています。
「疲れが溜まっている」「翌朝に疲れを残したくない」という方におすすめです。
>>桃屋のいつもいきいき
アロマの香りを楽しむ
香りはリラックスを促すため、生活の中にも取り入れやすい方法です。リラックス効果のあるアロマオイルの香りを取り入れてみましょう。
アロマの選び方は以下を参考にしてみてください。
お悩み | アロマ |
疲れているのに眠れない | カモミール、ラベンダー、マージョラム |
疲れてやる気が出ない | グレープフルーツ、ジャスミン、クラリセージ |
疲れて元気が出ない | カルダモン、レモングラス、ローズマリー |
専用の器具がない方は、入浴時に数滴入れてバスタイムを楽しむのもおすすめです。
自然に触れてリフレッシュする
自然の多いところでリフレッシュするのも良いでしょう。
ミシガン大学のMary Carol Hunter博士の論文では、「ストレスホルモンであるコルチゾールを減少させるには、自然を感じられる環境下で20~30分過ごすことが最も効果的だ」と述べられています。
森林浴をして木々の香りを感じたり、鳥のさえずりや水の流れる音を聞いたりすることで、心身ともにリラックスできます。
出典:環境省「データで見る国立公園の健康効果とは?|国立公園に、行ってみよう!」
疲れを溜めない生活習慣
毎日の過ごし方を少し見直すだけでも、疲れにくい身体づくりにつながります。ここでは、疲れを溜め込まないために日常生活で心がけたい習慣を紹介します。
質の良い睡眠をとる
十分な睡眠がとれないと、心身の疲れが十分に回復せず、エネルギーも再生されにくくなります。
心身の回復のためには、睡眠の「長さ」だけでなく「質」も意識することが大切です。睡眠の質を高めるポイントは、以下の通りです。
朝日を浴びる
質の良い睡眠のためには、朝日を浴びることが大切です。朝日を浴びることで、入眠作用のあるホルモンであるメラトニンの原料となるセロトニンが分泌されます。
朝食にトリプトファン(大豆、肉、魚、卵など)を摂取する
セロトニンの分泌を促すためには、朝食にセロトニンの原料となるトリプトファン(大豆、肉、魚、卵など)を意識的に摂取するのもおすすめです。
夜は強い光を避け、温かい色の光にする
夜に強い光を浴びると入眠の妨げになります。
蛍光灯などの青白い光やPC、スマートフォンから出るブルーライトはメラトニンの作用を抑制します。
夜は照明を温かい色のものに変えたり、寝る1時間前からはPC、スマートフォンの使用を控えたりして、入眠を妨げる強い光を浴びないように注意しましょう。
季節に合わせた就寝環境をつくる
暑くて寝苦しい夏場はエアコンを活用して、寝室を快適に保ちましょう。このとき、冷やしすぎないように注意してください。
また、冬場は寝る前に湯たんぽや布団乾燥機、電気毛布などで布団を温めておくのがおすすめです。
ただし、温めすぎると身体に熱が残り、睡眠の質が下がる場合があります。床に就く前には設定温度を下げて、人肌くらいの温度を保ちましょう。
バランスの良い食事を意識する
栄養不足も疲れが取れない原因になります。
身体のエネルギー源となる三大栄養素(炭水化物、脂質、たんぱく質)に加え、エネルギーの生成をサポートするビタミンやミネラルもバランス良く摂りましょう。
ここでは、特に摂りたい栄養素を紹介します。
関連記事:「精のつく食べ物とは?疲れ知らずのスタミナをつけよう!」
たんぱく質
たんぱく質は脳の活動に重要な役割を果たしています。たんぱく質が不足するとセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質を作り出せず、集中力ややる気の低下につながります。
疲れを感じたときには、セロトニンの原料となるトリプトファンが豊富に含まれている動物性たんぱく質がおすすめです。納豆などの大豆製品や肉、魚、乳製品などに含まれています。
ビタミン
ビタミンには多くの種類がありますが、特に疲れに効果があるのはビタミンB群(主にビタミンB1、B2)とビタミンCです。
ビタミンB1は、糖質からエネルギーを生成するときに必要な栄養素です。豚肉や卵、うなぎなどの食品に豊富に含まれています。
ビタミンB1の疲れに対する効果は、強い抗酸化作用があるアリシンと同時に摂取することで高まるといわれています。アリシンは、ねぎやにんにく、にらなどの食品に含まれます。
ビタミンB2は、3大栄養素(炭水化物、脂質、たんぱく質)の代謝に関わっており、疲れの原因となる物質を除去するのに必要です。ビタミンB2が豊富に含まれる食品には、レバーやうなぎ、卵、納豆などがあります。
ビタミンCには、抗酸化作用があり、ストレスによって体内で発生した活性酸素を除去する働きがあります。ビタミンCを豊富に含む食品は、グレープフルーツやオレンジ、レモンなどの柑橘系のフルーツです。
カルシウム
カルシウムは、神経系の過剰な働きを抑える作用があり、精神的な疲れの回復を助けます。また、カルシウムには筋肉の動きをスムーズにする働きもあります。
カルシウムが多く含まれる食品は、乳製品や干しえび、ちりめんじゃこなどです。マグネシウムと一緒に摂取することで疲れを回復させる効果が高まります。
鉄
鉄は体内に酸素を運ぶのに必要な栄養素です。鉄が不足すると、体内への酸素の供給量が減ってエネルギーの産生量が減少し、疲れやすくなってしまいます。
鉄を多く含む食品には、レバーやイワシなどがあります。鉄製のフライパンを使用して調理をすることも鉄の補給に効果的です。
入浴で身体を温める
疲れを取るためには毎日の入浴も大切です。入浴が疲れの回復に効果的な理由とおすすめの入浴方法について解説します。
入浴で疲れが取れるワケ
入浴には、主に3つの効果があります。
・温熱作用
・水圧作用
・浮力作用
温熱作用とは、身体を温めて全身の血行を良くする作用です。
血行が良くなることで新陳代謝がアップし、体内に蓄積した老廃物や疲労物質が排出されやすくなるため、疲れやコリ、痛みの改善が期待できます。また、身体を温めることで神経の過敏性が抑えられ、神経痛が改善することもあります。
水圧作用とは、入浴中に受ける水圧によって得られる作用です。
入浴中は身体に水圧がかかり、身体の表面だけでなく、皮膚の下にある血管も圧迫されます。これにより、手足などの末端に溜まった血液が心臓へと押し戻され、血液やリンパ液の流れが良くなるため、むくみの改善につながります。
浮力作用とは、水中の浮力により身体が軽くなることで得られる作用です。
水中では、浮力により体重は普段の10分の1程度になります。重力から解放されることで、体重を支える筋肉や関節を休めることができ、全身の緊張がほぐれます。
このように、入浴にはただ身体の汚れを落とすだけでなく、疲れの回復につながるさまざまな効果があります。疲れが取れないときはシャワーだけで済ませるのではなく、きちんと入浴することが大切です。
38℃程度のお湯にゆったり浸かる
お風呂はお湯の温度により、効果が異なります。42℃以上の熱いお湯では交感神経が優位な興奮状態になってしまいます。
疲れを取るためには、副交感神経が優位になる38℃くらいのぬるめのお湯にゆったりと浸かるのがおすすめです。
全身浴をする
水圧作用と浮力作用は半身浴よりも全身浴のほうが高まりやすいといわれています。温熱作用も高まり、血流改善にも効果的です。
まとめ
今回は、疲れを取る方法について解説しました。
疲れを取るためには、バランスのとれた食事や運動、入浴、質の良い睡眠が大切です。
日常生活を送る上で疲れはつきものですが、日頃から意識して疲れが蓄積しないようにしましょう。